皆さんは慢性疲労症候群ということばをお聞きになったことはありますか?
睡眠をしっかり取っても疲れが取れないことは有りませんか?
疲労には、休息によって容易に回復する生理的疲労と休息しても回復しにくく長期間持続する病的疲労の二種類があります。
慢性疲労症候群(CFS)とは常に身体が怠く、疲労感があり、休日にたっぷりと休養をとっても回復しない状態が長期で続くため、病的疲労である可能性があります。
20~50代にかけて多く発症し、男性より女性に多く見られる傾向にあります。慢性疲労症候群の原因は明らかになっておらず、市販薬では対処することができません。
今回は慢性疲労症候群の原因や陥るメカニズムについて分かりやすく解説します。
原因はなに?
1.生活環境ストレスの関与
健常者に比べ慢性疲労症候群患者に多くみられたのは、睡眠習慣の変化(睡眠時間の変化、睡眠にあてる時間帯の変化など)、担保や貸付金の損失、家族の健康上または行動上の変化、親戚とのトラブル、配偶者との和解、気晴らし・休養の取り方や頻度の変化、生活状況の変化(家の新築・模様替え、家や近隣の状況の悪化など)、けがや病気といったことがきっかけとなっています。
その他には、
①精神的ストレス(人間関係のあつれきなど)
②身体的ストトレス(長時間残業、過度の運動など)
③物理的ストレス(紫外線、騒音、温熱環境など)
④化学的ストレス(ホルムアルデヒドなどの化学物質)
⑤生物学的ストレス(ウイルス、細菌、寄生虫など)
も考慮する必要があります。
2.遺伝的背景の関与
慢性疲労症候群の患者の特長は、些細なことが気になる方や完璧主義の方が多い。
健常人と比較してストレスに対して興奮しやすい性格か、またはストレスに耐えられる力の差が関連している。
性格や気質は種々の神経伝達物質の輸送体や受容体の遺伝子多型(ドーパミン受容体遺伝子にある配列の欠損や挿入)が関連している可能性がある。
3.感染症の関与
慢性疲労症候群の患者でみつかっている多くの感染症は、種々のヘルペスウイルスの再活性化やマイコプラズマ、コクシエラ、トキソプラズマなどの慢性感染症であり、免疫力の低下が関連しているものと思われる。
社会心理的なストレスがNK活性などの免疫力の低下を引き起こすことは良く知られており、前述した生活環境ストレスと遺伝的因子が関係しているものと思われる。
4.免疫異常
アレルギー歴を有する人が多く、ウイルスや細菌を退治する免疫グロブリンの異常、自分の細胞に対して攻撃してしまう免疫の異常が報告されている。
5.内分泌系の異常
自律神経とホルモンの中枢である視床下部、ホルモンを作る脳下垂体や副腎系の異常、疲労感を下げ、からだを活性化させるコルチゾールの減少、愛情ホルモンのオキシトシンや兄弟関係であるバゾプレッシンの減少、成長ホルモンの分泌異常が報告されている。
6.脳・神経機能異常
脳の血流量の低下により脳の機能異常をおこし慢性疲労症候群の不定愁訴につながっていることが明らかになっている。他にうつや睡眠不調につながる脳内のセロトニンの代謝低下がみられる。
慢性疲労症候群に陥るメカニズム
最近の研究により、慢性疲労症候群の患者でみつかってきた上記1~6の異常はそれぞれ独立して存在しているのではなく、お互いに密接に関連していることが明らかになってきています。
種々の環境要因(身体的・精神的ストレス)と遺伝的要因によってナチュラルキラー細胞の活性低下などの免疫力の低下、潜伏感染していた種々のヘルペスウイルスの再活性化、これを制御するために産生されたサイトカイン(細胞間の情報伝達物質)が脳・神経系の機能障害を生じているのではないかという仮説が有力になっています。
個人的には、生活環境ストレスの関与で、「配偶者との和解」が慢性疲労症候群の原因というのは意外です。ストレスは全て悪いとは限らないですが、どのように受け取るかがキーとなる気がします。
ご自身で乗り越えることが出来ない場合はお早めにご相談ください。
次回は「慢性疲労症候群になりやすい人の特徴」を投稿する予定です。
出典 日本医療研究開発機構
「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」
研究班 ホームページより要約
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まつおか整体まで