■平均発症年齢は30歳前後で、女性に多い病気
多発性硬化症は20~40歳で発症するケースが目立ち女性の方が多い病気です。
国内では約1万4千人の患者がおり増加傾向にあり、20年後には5万人に増えると予想する専門家もいます。
■多発性硬化症とは
多発性硬化症は脳や脊髄、視神経に病巣ができて、ミエリンが壊され、軸索がむき出しになって、神経伝達がうまくいかなくなる病気です。
神経を覆うさやの役目を果たす「髄鞘(ずいしょう)」が、炎症によって壊れる脱髄を起こし発症します。
■多発性硬化症は体のさまざまな場所に異常が出る
【視神経に病巣がある場合】
視力低下や失明などの症状が現れます。また、視野欠損の症状が出ることもあります。
【脳幹部に病巣がある場合】
構音障害や嚥下障害、複視、眼振、めまい、顔面の感覚・運動の麻痺などの症状が現れます。
【小脳に病巣がある場合】
会話の障害や手足の震え、しびれ。歩行が不安定になり、酔っぱらったような歩き方になることもあります。
【大脳半球に病巣がある場合】
片麻痺や集中力の低下、物忘れが多くなるなど認知機能に影響が出ます。
【脊髄に病巣がある場合】
体幹部のしびれやピリピリとした痛み、手足のしびれや麻痺、筋肉のこわばり、尿失禁、排尿障害、排便障害(便秘)などの症状が出ます。
■食の欧米化が影響?
原因ははっきり分かっていませんが、免疫機能に異常が生じることによる自己免疫疾患との見方が有力です。
欧米の国際研究チームが、多発性硬化症患者の遺伝子の塩基配列を調べたところ、自己免疫疾患である関節リウマチや1型糖尿病、潰瘍性大腸炎との共通点が多いことが分かりました。
■さいごに
薬で、ある程度抑えることはできても、完全に治すのは難しいようです。
病気の悪化や再発を防ぐには栄養バランスの取れた食事、ストレスをなるべくためない、適度な運動をするなど日ごろから規則正しい生活をすることが大切です。
参考サイト
多発性硬化症の看護 ガイドライン、症状や治療と看護計画 ナースのヒント
多発性硬化症 増える患者 日経スタイル
神経因性膀胱 名古屋大学大学院医学系研究科