線維筋痛症はガンや心筋梗塞、脳梗塞の原因をつくる

線維筋痛症は全身が痛くなる疾患です。全身の痛み、疲労感、不眠症が主な症状ですが、過敏性腸症候群、パニック障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)など。米国のある学者が数えたら合併症は150もあったそうです。

ヘッドアップアンドティルトという試験をすると線維筋痛症の患者さんの86%に低血圧ないし起立性低血圧があリました。

しかもそのほとんどが心臓のポンプ機能の低下が原因でした。さらに、血糖値を詳しく観察できる装置を用いて血糖値を測定したところ、線維筋痛症では夜間に低血糖が見られる人が90%、午前中に低血糖の症状が見られる人が78%。血糖値スパイクが見られる人が82%いました。

痛みの原因が低血圧や低血糖にあるということは低血圧や低血糖を改善すれば、線維筋痛症は根本的に治る病気だといことです。

「糖化・酸化・全身の血流の異常」が慢性の痛みや疲労をもたらす

酸化とは、鼻から吸った酸素が血液に入り、各細胞に取り入れられて、その中で糖を燃やしエネルギーをつくる際に副産物としてできてくる活性酸素のことです。

糖化とは、身体をつくっているタンパク質が、体温と血液のなかの糖(血糖)により変性してしまい「コゲ」をつくってしまうことです。焼き魚や揚げ物など高温で調理する食事には糖化最終産物(AGEs:エイジズ)が多く含まれます。

全身の血流の異常とは低血圧、起立性低血圧、心臓のポンプ機能の低下のことです。

全身を覆っている筋肉には無数の細い血管が走り、血液が筋細胞に酸素とブドウ糖を届けています。その供給が悪くなると筋肉は動けなくなります。そして、痛みやしびれ、疲労感が残るようになってしまいます。

慢性の痛みや疲労は、ガンや心筋梗塞、脳梗塞などの生活習慣病の素地をつくります。これらの病気の未病が慢性の痛みや疲労ということです。放置するとこれらの病気を発症する可能性があります。

線維筋痛症の原因は?

低血圧、低血糖、貧血、甲状腺機能低下症、血糖値スパイクなど原因はさまざまで、各個人により異なります。線維筋痛症は珍しい症状ではありませんが症状が多岐にわたること、原因がよくわからないこと、的確な治療方法がないことから苦手とする医師が多いのが現状です。

線維筋痛症学会、線維筋痛症友の会では全国の専門医を公表しています。参考にされるとよいと思います。

線維筋痛症のはどんな人がなりやすい

米国の歌手レディーガガさんや日本の人気TVアナウンサーが線維筋痛症になり入院したことが話題になりました。アナウンサーは秒単位に時間に追われる仕事です。そうした環境で一生懸命努力して成功しようとする方、すなわち、過剰適応する方が線維筋痛症になりやすいようです。

線維筋痛症の患者さんの食行動

線維筋痛症の患者さんは、調査の結果、過去の食行動の異常が96%に見られました。その内容は、低体重出生児(2500g未満)、過食、拒食、孤食(一人で食事をとる)、少食、どか食い(空腹で、ドカンと食べる)、速めし食い、ながら食い、部活(激しいスポーツ、バレーやダンス)、ダイエット、朝食抜き、体重の変動など(思春期〜青年期)などでした。

線維筋痛症は、早期に気づいて行動を変えれば、ふたたび健康に戻れる疾患です。

いったん病気を発症するとなかなかもとの状態に戻るのは困難ですが、未病の最大の特徴は、早期発見、早期治療すれば、ふたたび健康に戻れることです。患者さんがご自身の生活習慣を振り返り、セルフコントロールし、習慣を変えていけば必ず治ります。

気づかずに放置したり、誤った治療を受けていると、ガンや心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、アルツハイマー病などが忍び寄ってきます。痛みや疲労は、「生活習慣(生きざま)を見直しなさい」という警鐘、いわば、「神の声」なのです。

参考文献 「血糖値スパイク」が万病をつくる 永田勝太郎著