老化は治療できる病

老化の正体が科学的に解明されるにつれ、明らかになってきたことがあります。それは、老化は原因があるありふれた病気で、治療が可能ということです。

また、ガンや心臓病、アルツハイマー病などは、それら自体が個別の病気ではなく、老化によって引き起こされる症状のひとつに過ぎないということが判明してきました。

デビッド・A・シンクレア博士は世界的なベストセラーになった著書「LIFESPAN老いなき世界」の中で「老化は人間の運命でなく『病気』であり治すことができる」という仮説を主張をしています。

生命が老いる仕組み

体の中にはDNAとエピゲノムと呼ばれる2種類の情報があります。

DNAはとても壊れにくく頑丈で例えると「デジタル情報」、一方エピゲノムは細胞分裂の時にどのような種類の細胞なればいいかを指示することでそれぞれの細胞の役割が決定しますが「アナログ情報」のため時間とともに劣化してしまいます。

エピゲノムの情報が劣化していくと、生まれ変わる細胞の質も下がり、組織や臓器はだんだんうまく、機能しなくなっていきます。

このエピゲノムの劣化こそが、生命の老いる仕組みなのです。

いますぐ長寿遺伝子を働かせる方法

老化を防ぐために、すでにできること、それはエピゲノムに適度なストレスを与えて、活性化させること。

例えば、次のようなことです。

カロリー制限をする
間欠的に断食をする
アミノ酸を制限する
汗をかく
寒さに身をさらす

ただし現状では科学的なデータがないためあくまで体験談のレベルです。

寿命を延ばす働きを有する物質

体に負荷をかけずに、摂取するだけで老化を防ぐ物質もいくつか明らかになってきています。

*糖尿病の治療薬として使われている 「メトホルミン

*ニコチンアミドアデニジヌクレオチド、通称「NMN」という化学物質

*赤ワインに含まれる抗酸化物質 「レスベラトロール

老化に伴うごく一般的な病気の根本原因に対処する初の薬として、メトホルミンを認可させようという取り組みがあり、「アメリカ食品医薬品局(FDA)」は、もしこの研究が成功すれば、老化を治療可能な病気と見なすとしています。

さいごに

老化はあらゆる病気の原因。老化自体を遅らせることが出来れば、ガン、心臓疾患、アルツハイマー病や、大きな後遺症を残す病気のリスクをまとめて低下させることができます。

多くの人が健康で100歳を迎え、今の50歳並みの活動レベルを維持できるのです。

もし100歳でも働くことを選べたら、今の経済のあり方も根本から変わりそうですね。

まさに社会全体を大きく動かす、パラダイムシフトが訪れようとしているのです。

参考書籍

ライフスパン 老いなき世界 デビッド・A・シンクレア著

参考サイト

暮らしのデザインレビュー 『LIFE SPAN 老いなき世界』要約