血中のリンを多く排出できる腎臓を持つ動物ほど寿命が長い

ハム、ベーコン、プロセスチーズ、かまぼこなどの加工食品に多く含まれる「無機リン」は、体内で老化加速物質に変貌し、慢性腎臓病、動脈硬化、心臓病を引き起こします。

リンを体内から排泄して調整してるのは腎臓

1日約180Lもの原尿をつくる腎臓。腎臓は原尿を「血液に戻す分」と「尿として排出する分」とに仕分けし、体内の水分、塩分、血圧などを一定に保つはたらきをします。

リンを摂りすぎると、腎臓の機能を低下させたり、血管トラブルや慢性炎症を引き起こしたりして老化を加速させる大きな原因となります。

リンの摂りすぎに注意しよう

リンはカルシウムとともに骨を構成したり、DNAや細胞膜の主成分でもあります。

リンは人体に絶対欠かせない物質ですが、血中で高濃度になると「細胞毒」のように働いてしまいます。

リンが血中で高濃度になると・・・

高リン血症(血中リン濃度高値)、動脈硬化(血管石灰化)、成長障害、心肥大、骨粗鬆症、性腺の萎縮、胸腺の委縮、老人肺(肺気腫)、サルコペニア(筋肉量の減少)、感音声難聴、認知症、慢性炎症、寿命の短縮など 

腎臓は消耗品?

腎臓のリンを排出する力は加齢とともに減少します。その濾過機能は、一度減ってしまったら回復したり再生したりすることはありません。

症状なしに衰え、気づいたときには手遅れになってしまいます。

早い段階から注意を払ってリンの摂りすぎを抑えていけば、腎臓を健やかにキープして老化や病気を未然に防いでいくことができます。要介護や寝たきりにならずに健康寿命を延ばしていける可能性が高まるのです。

食事や運動の工夫で腎臓を強く保ち、寿命を延ばす

腎臓のリンの処理能力は生まれながらにして決まっていて、かなりの個人差があります。

小まめに体を動かして骨から漏れ出るリンの量を抑えたり、食品添加物を減らして口から入るリンの量を抑えたりしていけば老化を防いで、腎機能を長持ちさせていくことができます。

参考文献 腎臓が寿命を決める 老化加速物質リンを最速で排出する 黒尾 誠 著